20191204

ギア比「2.8」の法則 2


「LSD(Long Slow Distance)」タラタラ走ることとは明確に違います ゆっくり走る練習だけど 時速「30~35km/h」ギア比「2.8(ギア比=フロントチェンリング歯数÷リアスプロケット歯数)」ギアは固定して(変速は一切しない)ペースを維持し走る練習を指します

このギア比(2.8)で固定して走る意味と理論は明確で 酸化系の筋繊維の増幅を図ることにより 赤血球の増加に伴うヘモグロビンが生成する機能の強化 筋繊維(1本づつ)へのアプローチ 命令系統(反射の除去 随意運動から不随意運動へ移行させる『脳のメモリーに刻み込む練習』)の練習 酸化系の筋繊維を使い切り順番通り(→中間繊維→OBLA→解糖系の筋繊維)脳で命令し随意運動することにより 内呼吸(酸化系の筋繊維でのガス交換)エネルギー供給の仕組み(内分泌)の強化となるわけだ(ザックリ) そのためには「(風)空気抵抗や僅かな傾斜 回転数(ケイデンス)が下がっても(落ちても)しっかり丁寧に刻むように筋繊維へ負荷を掛ける」負荷に対して変速(ギアチェンジ)しているようでは 有効な「LSD」の負荷が掛からない仕組みだ 1本の筋繊維へのアプローチを 練習ではガッツリ丁寧に レースでは繊細に(仕掛ける時)使いに行く時と回復(レース中に休む)脚の使い方を使い分ける またこのギア比は(年齢やキャリアは関係なく)人体の構造より カラダ全体を使って(反射を除去し)脚を使うことに最も適し効率が良いと解っている練習法

僕らの時代には「ギア比制限」は定めだれていなかったんだけど わずかだったけど欧州からの情報(映像と雑誌)子供たちが固定車(ロードをトラックの「2.8」固定ギアに組まれた自転車)で練習していて オフの練習では著名なプロ選手達も(42-15)(または固定ギア車)の自転車で(2列で話しをしながら)チーム練習していて そんな情報から 誰から教えてもらうことなく 自転車レースの基礎(基本)であることを理解していた さらに 1つまえの記事(心拍HR「1」/100)でも告げていること「筋繊維を 1本づつ使う」基礎の脚(カラダで脚を使う)を身に着けることが『カラダの準備』ってこと 厳しいレース 高速での展開では 些細な無駄脚が才能に直結する訳で 基礎の地脚(カラダの準備)ができていなければ 積極的に使う脚や(最初から展開し)後半から行く脚には至らない 高速のスピードレース(登りでもフラットでも)集団で「脚を休め回復させる」身に着け備えることができなければ その先へ辿ることはできないってことだ まあその代表する練習「LSD」を説いている

その「LSD」の 1つ延長線に ギア比「2.8」(緩いスロープ 3~8%)「SFR(Slow Frequency Revolutions)」ってのがあって 緩いアップダウンより(2.8 固定)(下りでも脚は止めない)雑にならないようシッティングで刻むように負荷を筋繊維へアプローチする練習法に SFRの初級練習としての「LSD」も実に大切 まあまさに「遅く走る練習」なんだけど 言うまでもなく楽に走っているようでは練習にはならない訳で シーズンへ向けての脚(カラダ)を創るオフの練習になる まあボク的には通常の基本練習「倍数掛ける練習」(倍数掛けて登るタイプだったので) ※補足:ギア制限が解放される選手は こうした練習から「倍数(ギア)」の『かけ方』を習得する練習でもある

また トラックレースでの基準として レースギアでは(U17から)「48-15(16)」より開始し「49-15」へシフトアップしトラックレースで勝った負けたの勝負を始めるギア比(ちなみに競輪学校の実技試験のギア比は「49-15(3.27)以内」) 言うまでもなく 自転車レースは脚を回してなんぼの競技 倍数踏み踏みでスピードを上げても レースでは話しになる訳もなく 脚を回す基本ができて この地脚を身に着けることからでしか 負荷を上げる ギアを掛けること 加速につなげる スピードにつなげる脚の回転とがイコールにはならない訳だ 6day's(この時期の欧州でのトラックレース)や トラックのワールドカップの選手の練習ローラーでの回転練習では「(レースギア比で)5回転(/1秒)スプリンターだけど」凄っ また(トラックレースで)世界のレベルに挑むアンダーのトラック選手達でも この辺りは基本中の基本で 固定ギアなので 回転を上げることで加速する訳だ「レースギア比で回し切る」このあたりのプロセスの理解 選手のセンスとも言える 川崎のバンクで度々 まだ身体もできていない(競輪選手を目指す中学生)モーターペーサー練 ギア比「2.8」のトラックレーサーで サドルから腰が跳ねることなくどんどん引っ張られ加速(空回転ではなく)脚を回しガンガン引っ付いている姿を見ちゃ「回転」脚を回す基礎基本の重要性を極々戒める訳だ 

「LSD」(フラットメインでアップダウンも含め)100~200㎞ ガッツリ走ってきてから 55km/h(~60km/h)まで加速して維持(数回繰り返し)ラストはスプリント シーズン中はレース中心になってなかなか乗り込めないので オフシーズンに確実に乗り込む オフの乗り込み次第でシーズンが決まる訳で シーズンに入ってから「乗り込み不足を痛感」(まあ痛感できる選手は救われるが) まあ難しい練習ではない 200キロ走ってから時速が「60キロ」までスピードが上げられないのなら 基礎の地脚が身に着いていない もしくは「スピード練習(トラック練とか チーム練55km/hで先頭交代など)」ができていないのか その原点に「1本の筋繊維」から始まる仕組みと理論の存在がある

ギア比2.8の法則(2013.05.19記)
https://charipro.blogspot.com/2013/05/28.html
(雑誌のコラムに載せた記事)


ご質問 問い合わせなどは ココ

charipro SeijiSaito
Official website:http://www.charipro.com/