20210725

勝ち方を教える前の「カラダの準備」

 


【FAQ and Reply】

Q: 
心拍数が下がらず、足はあるのに心臓がきついということが多々ありました。僕の力不足、暑さなどもあると思いますが、逃げてるときなど意識的に心拍数を下げるコツや心拍数をあげない逃げかた、走り方があれば教えていただきたいです。(U17 2年目)

A:
ザっと重要なことだけを 端的に解説します

人体の筋肉の筋繊維には3種類あります
1_ 解糖系(Type2b/太い筋繊維/速筋)最大パワーを生み出す:グリコーゲンで筋収縮し酸の排出(40秒後乳酸)(血中酸性濃度とOBLAの仕組み)
2_ 中間繊維(Type2a)解糖系と酸化系と両方の機能 でも筋繊維の量 本数は少ない
3_ 酸化系(Type1/細い筋繊維/遅筋)大きな出力はできない:酸素 水 脂質 グリコーゲンで筋収縮し 二酸化炭素 水(汗)が排出され また解糖系で排出された40秒未満に排出された酸(ピルビン酸)も収縮の原料として使う


筋繊維の順番(使う使い方の順番)
酸化系の筋繊維をスピードに応じて使い切り 更にパワーが必要なる時に 解糖系の筋繊維を稼働させる 重要なことは「酸化系の筋繊維は常に稼働させ続ける」それでも出力が必要な場合(出力とスピード域を問わず)必要な解糖系の筋繊維を稼働させる 解糖系の筋繊維は収縮と共にピルビン酸が排出され(ピルビン酸は酸化系の収縮のための原料として燃焼する)継続し40秒使い続けることで 血中酸性の濃度が4Mnを超えると乳酸と変化 筋収縮の妨げとなる(この40秒は 人体の仕組みなので 鍛えて変化させることはできません)

したがって
酸化系の筋繊維の本数(量)が増えることで(または多く使うことで)出力の出し入れの際に排出されるピルビン酸を燃焼する効率が向上する 酸素 水 グリコーゲン(と脂質)を摂取し続け 常に酸化系の筋繊維が稼働していれば ピルビン酸は乳酸へ変化することはなく(理論上永久に回復させながら筋繊維の収縮が可能となる仕組み)パワーまたはスピードの出力に応じ また必要に応じ 解糖系の筋繊維を使い(出力の差し入れ)をしても ピルビン酸は 乳酸へ変化させずパワーを生む ようするに より酸化系の筋繊維の収縮が多くできれば(多く身に着ける または多く使うこと) より多くの解糖系の筋繊維を使うことが可能となる仕組みです

ダメな現象として
解糖系の筋繊維を40秒連続で使い続けることで 脚が売り切れてしまい 酸の回復より 解糖系の筋繊維の回復を促すためだけに 解糖系の筋繊維が動き出す「脚を使い切ってから 心拍(HRの数値)が(運動し終わった直後)後から上昇する」最も悪い循環 オン オフで解糖系と酸化系を使う 最もポピュラーなダメ この日本国内では溢れ続ける間違えです


「酸化系の筋繊維の動き(内呼吸) ≒ 心拍数(外呼吸)」心肺機能と言う

現在(質問者 U17選手)

「心拍に負荷をかける練習(ボクから指示をしています)」では 酸化系の筋繊維の 本数を増殖をしています U17期には 最も必要で この時期(成長期)だから可能になる練習になります(ジュニア期まで増殖可能)

仮に
10w=解糖系の筋肉の繊維「1本」で出力できるとする
10w=酸化系の筋繊維「10本」で出力できるとする

では
19w=酸化系の筋繊維「1」本+酸化系の筋繊維「9本」
でも 酸化系の筋繊維「2」でも 19wの出力には対応はしているが 20wの出力になり「1wよぶん」無駄ってこと

へたをすると
12wの出力で足りる走りであっても 解糖系の筋繊維メインで使う選手は 解糖系の筋繊維「2本」でまかなう 普段から 解糖系の筋繊維を メインで練習している選手 または 解糖系の筋繊維しか使えない選手は 脳からの命令(運動神経の命令系統)細い筋繊維「9本」へ命令するより 解糖系「1本」へ命令する方が楽(簡単に脳が命令できる) このことは レース中 常に繰り返す『無駄脚』の仕組みと意味 実現象です(ザックリの説明)

酸化系の筋肉の繊維 1本1本へ(解糖系の筋肉の繊維も含め) 脳からの命令系統が機能(もしくは命令ができている)ことが 最も重要 ※この使い方のことを『丁寧に脚を使う』と言っています


Brain, capacity and Command(脳の命令)
・随意運動(voluntary movement)
 動きたい動きに対し 動かそうと意識しカラダを動かす
・不随意運動(involuntary movement)
 必要な動きを「必要だと脳が無意識に判断し」カラダが動く(身に着いた動き または反射とも言う)※「反射」に対しては クセなど悪い動きに対しての反応も多く含まれる

酸化系の筋繊維の増殖に伴い
現在 どんどん酸化系の筋肉の繊維が増えてきています なので 筋繊維が「酸素を要求」しています そのため 脚より先に呼吸が負けている(想定している状態です 練習の成果でもあります) この「酸素を要求」は Vo2Max(酸素を血液に取り込む機能)を向上させることも狙っています(練習・レース)※ヘモグロビンと「EPO(erythropoietin)」の仕組みの話しは 直接口頭で解説します

実際 仮に
①47×14 時速40㎞/h 回転数80/m 出力500w 心拍190bpm= 解糖系の筋繊維「40本」酸   化系の筋繊維「100本」
②47×14 時速40㎞/h 回転数80/m 出力500w 心拍190bpm= 解糖系の筋繊維「20本」酸化系の筋繊維「300本」

同じ集団で走る選手 同じ逃げでローテする選手 逃げている時でも シミュレーションしてください 「どう脚を使うか」「筋繊維の使い方」「筋繊維の使う順番」「無駄脚」「この時期心拍に負荷を掛ける理由」

これに併せ
③47×14 時速40㎞/h 回転数80/m= 本当に「500w必要なのか?」「解糖系20本 使う必要があるのか?」
④実際に 解糖系であっても酸化系であっても 必要以上に使っていないか

逃げている時は 実際に
⑤心拍191bpmでは 酸化系を使い切り 解糖系を使い ピルビン酸の排出のみ 巡行最高速度
⑥心拍192bpmだと 酸化系を使い切り 解糖系を使い ピルビン酸が乳酸へ変化してしまう速度域(過出力)(実際にサイトウの数値で この数値が解っていれば 逃げのペースメークの基礎となる)

ゆくゆくは この数値と 出力 速度 具体的に解ってきます(自覚できるようになる)現在は『全力』『丁寧』『追い込む』 無駄だと思ことでも無駄にちゅうちょせず でも無駄脚は使わない

無駄脚=必要以上に 1本でも無駄に筋繊維を動かさない(しかし回復を促す際は 積極的に脚を回す必要あり)(キツクなって脚を止めてしまえば筋繊維の収縮も止まり回復の仕組みも止まってしまう) 1㎜(1本「筋繊維」)でも 無駄脚は使わない でも大逃げは 何度でも(無駄であっても)繰り替えす 逃げて(後続との)間隔を空けたら この仕組みを脳で理解しカラダ 脚を使い 丁寧に出力することで 最高巡行へつなげる ただし その後続との間隔を空けるための過程では「加速」は必要なので 多少の乳酸の排出は覚悟し 恐れない 回復させる仕組みを機能させつつ 加速のための出力は繰り返す のちに『回復させる自信』にもつながる

さらに言うなら
リア スプロケット(ギア) 登りでもフラットでも
⑦「1段下げると軽いけど 1段上げると重い」「このギアだとキツイ でも1段下げると回せない」
⑧逃げて先頭等交代「前を引くときのギア」「後ろに着いている時は1枚ギアを落として回す」(酸化系の筋繊維優先)
⑨プロトン内「できる限り『踏まない』回す」ギア比を適度に落とし(1枚軽く)酸化系の筋繊維メインで常に回復
⑩逃げて戻ってきた場合 プロトン内で酸化系の筋繊維メイン(優先)回復を促し 次のエスケープ(アタック)に備える

こうした多くの局面で スプロケット(仮に)「15」と「16」の隙間に 脚の中(筋繊維の使い方)にギアを創ることが最重要 「15.1」「15.2」「15.3」15.4」「15.5」・・・ 酸化系の筋繊維を「1本づつ動かす」WT選手の常識です これができないようでは 欧州のレースでは走れません このことの理解と この仕組み(走り)を身に着けるたら 次にパワー スプリントを重ね身に着ける 勝ち方については 以前にも話しましたが 具体的な勝ち方は 追ってシミュレーションし 教えます


補足:

酸化系の筋繊維を常に使い続けることで 血中酸性濃度「4Mm」を超えないよう ピルビン酸を燃焼し続ける 酸化系の筋繊維を常に使い続け OBLAのラインを「超える」「下げる」練習のことを『インターバル』になる 酸化系の筋繊維を常に使い続けることは 負荷の数値に伴わず同様の仕組み スピード域も問わず同様のことです

また 心拍(HR)の数値が高ければ 酸化系の筋繊維が多く収縮していることになり 言い換えるなら 常に会巣くする機能が稼働しているってことになるので この時期(U17)心拍を下げようとする動きを 特に意識する必要はありません(質問者 現在のU17選手に対しての解答の1つ)

心拍HR「1」/100|カラダの準備
https://charipro.blogspot.com/2019/11/hr1100.html

筋線維タイプ移行の分子メカニズム
https://charipro.blogspot.com/2018/05/blog-post.html

ギア比「2.8」の法則 2
https://charipro.blogspot.com/2019/12/28-2.html


自転車レースは速さです 自転車レースは全て「スピード」世界共通の事実です 「脚を回して 回転を上げることで時速を上げる」ほとんどの日本人(若い選手)できてない 解らない なので練習方法がコッケイで的外れになっています

レースは最高の練習の場 その環境です 練習で「できないこと(できない走り)」を「レースで試す」 レースで出来なかったことを練習する そしてまたレースへ臨み試すこと この繰り返しができないと 選手のカラダ 選手の脚を創ることはできません 

勝ち方を教える前の「カラダの準備」ってことになる


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