20111202

【WebセミナーVol_1】 ペダリングの記憶

ペダリングは脳に記憶させるべし!

スポーツの上達には 目標とする動作を繰り返す事によって 思った動き 理想とする動きに 近づくことができる まあこの事を「練習」って言っているんだけど・・・

でも スポーツって あまでも趣味(?) しかし その言葉だけでは括れない魅力ってのが スポーツにはあって だからみんな 大切な時間を使ってスポーツをしているんだと思う

その瞬間 その日 気のままに楽しめれば良いって 楽しみ方と 目標や到達点を想像して そこまでのプロセスをも 楽しんでいる方もいる・・・
そのプロセスって あくまでも目標までの途中経過なので 必ずしも 楽しいと感じる時間ではなくって むしろ 苦しかったり 悩んだり つまらなかったりすることの方が多いのではないかと思う
コツコツ一生懸命にやっていても 目に見える進歩が少なかったり 更に 進歩ってのが自覚できないと いくら目標や到達点を想像しても 楽しいって感覚とは 程遠い・・・ また 自分が向かっている目標に 「この練習であってるの?」 なんて疑問を持ちながら練習している方も 少なくないと思う

そのためにも 今日は そのプロセスについて ちょっとお話しようと思います

やっている事に「無駄」は 存在しないと 僕は思う! 間違っていると思えば 修正すればいだけのこと・・・ でも あっているのか 間違っているのかが解らないまま 曖昧な練習になってしまうことが 本当に厄介なんだ
それに加えて 目標までの近道ってのは無いにしても・・・ 間違っていること? 間違った練習? いや言い替えよう 目標に向かっていない練習になっているとしたら それは 大きな遠回りになってしまう
「こうすれば良い」って 様々なスポーツの歴史と それに関わる人達が解明し 実績を証明してきた理論やメソッドがあって わざわざ それに逆らう必要はないはず・・・! もちろん サイクリングも 歴史のあるスポーツなんだから

そこで 今日は 1つ! 理論とメソッドを紹介します 

この事は 脳の中にある「記憶」ってのに 大きく関わってくるんだけど・・・ 研究者の方々が言うには「小脳の回路や 小脳皮質のプルキンエ細胞のシナプスとの関係(LTD: Long-Term Depression)」とか らしいけど・・・ (僕も只今 勉強中でぇ~す) まあ とても難しい仕組みです!
でも しっかりとした仕組みがあって しかも 人体の基本的な仕組みだと言う だったら 僕達も その仕組みってのを使えるようすれば良いって事! この 脳にある「記憶」って仕組みを スポーツのパフォーマンスに置き換えて 少し解いてまいります

人が身体を動かす時には 目で見て 頭で考えて 脳から運動神経経路を使って筋肉に命令を送る・・・ この事は どなたでも知っていて 当たり前の事!
①目で見て
→②頭で考えて
→③脳から運動神経経路を使って筋肉に命令 
→④筋肉が収縮) →動作となる

この 動作までの 4つの仕事に加えて 「記憶」ってのを追加すると・・・ 目に映ったものが 以前に 1度でも見た事があれば その動作が記憶に残っていて 目に見えた瞬間に 次になにをすればいいかって 考える必要がなくなる・・・ そう 「考えて」って仕事は省かれ 脳に記憶された動作を 考えることなく 繰り返す事ができる 目に映った瞬間 運動神経経路を使って筋肉に命令が送られ 動作につながることになる
①→③→④→動作(②が省かれる)

簡単に言えば 脳に 1度記憶された動作は 次からは 考えることなく動作につなげることができるって事だ 

まあ 日常生活ていどでの動きくらいでは 1度でも見た事にたいしての動作は 考えなくても 身体が自然に反応するんだけど これが こと スポーツのパフォーマンスとなると そう簡単には 思う通りに身体は動かない・・・ 何故なら 運動神経の経路と筋肉ってのが 自分の意思通りに動かす事ができるかってことが大きな問題になってくるからだ

まず 運動神経の経路・・・ 読んで 文字の通り! 「運動神経」のこと 単純に言うと 脳からの指令を筋肉へ伝える役目!(人体の中を 天文学的に走り巡っている) その伝達速度が速ければ速いほど良い(誰でもそんなの解ってると思うけど) じゃぁ その伝達速度が遅いって どういう事か・・・? 

僕たちの 幼少時の頃を考えてみよう・・・ 先ほどの 動作に繋げる 4つの作業なんか まったく考えなくっても いや 考えるより速く カラダは反応して動いていた(遊びまわっていた)はず 5~6歳のころ・・・
そんな時期をピークだとすると 学校で勉強し 社会人になって 運動ってのからだんだん離れていって・・・ 運動神経経路も筋肉も 使われる範囲や場所 部位なんかが限られた部分しか使わなくなって(限られた部分だけで生活はできるから)・・・
まあ プロとかのアスリートなんかは ほとんどが この 5~6歳の時期からスポーツを始めていて 運動神経経路も筋肉も 維持しているというよりも 更に向上 進化させていることになる

それと筋肉・・・ せっかく脳からの命令が迅速に伝わっても 自身が想像することと同様に 筋肉が収縮しなければ 曲げたいと思った角度まで関節は曲がってくれなくって 伸ばしたつもりでも 伸びきれていないとか 上げたつもりが 命令した場所まで 筋肉が収縮してくれない・・・ 重ねて言うと 収縮させなければいけないはずの筋肉が まったく使われていない場合も多くあって この事は 特別めずらしい事ではなく 成人となったカラダは みな そう変化していく流れなんだ・・・

ただ 関節を曲げると言っても どの筋肉を使って 関節を曲げているかってのが重要で・・・ サイクリストに例えるなら ペダルを踏む時に 大腿部の前面をつかって踏む または 大腿部の後ろ側を使って踏む・・・ どっちでも ペダルを踏むことができる・・・ って事!(詳細は省きます)

少し 本題へもどして 具体的に「記憶」ってのに ふれてまいります

(メジャーリガーの)イチロー選手のバッティングを見て 脳にフォームを記憶する事ができても 「①目で見て→②頭で考えて」まではできても その先にはつながらない(先ほど話したとおり その先には 運動神経経路と筋肉の収縮がある) 

でも 逆からひも解くとすると 1度でも イチロー選手と同じ(形だけのマネではなく)動作をすることができれば そのパフォーマンスを脳は記憶する事ができるって事になる・・・ ん~ そんな事は ありえないけど!

ここで重要な事は 「①目で見た」の次! 「②頭で考えて」って事です

プロのコーチやトレーナーだったら プレイヤーのフォームを見ただけで 僅かな関節の動きや どこの部位の筋肉が動いているか また 動いていない部位や 動かさなくてはいけない関節の向きや角度 アライメントなんかを 目で見て判断できる(それが仕事だから) そこまでみる事ができて ここでは 「①目で見て」の作業とする(あくまでもスポーツのパフォーマンスって事で)

そうすると 多くの場合 「①目で見て」って言っても 見なければいけないところを 見ていないことになる(みなさん 失礼!) 肝心なところが見えていないのに 次の 「②頭で考えて」って 何を考えているのだろうか(また失礼)・・・ ってことになる

さて ではもっと具体的に サイクリストに向けて解いてみます

例えばぁ~
ヒルクライムで言う 理想的なケイデンスは AVG 75回転/毎分とされているらしい・・・ けど~ メーターのディスプレイと睨めっこしながら 75回転で 山を登る練習をする事とは意味が違う(言っている意味 解りますか?)
タイムトライアルで登って データを振り返って その結果が仮に AVG 85回転だったら 「もう少しギアをかけられた」 AVG 65回転であれば 「脚が回らなかった」とか「ギア倍数 掛けすぎだった」とか フィードバックして 次の練習につなげる・・・
もちろん 登っている(TT)時に 確認しながら登るってことも重要なんだけど(具体的には 今回は省きます)

脳に記憶させるべきものは ディスプレイの数字ではい 脳に記憶させるべきものは いま 自分のカラダの どこを どお使っているかってことだ・・・
ケイデンスって言う数字をイメージしたり メーターのディスプレイと睨めっこする事ではなく 脳に記憶させるべく大切な事は 自分のカラダ 脚が どう動いているかって事を できる限り詳細に 脳に伝える・・・ ギアが重いとか軽いとか 脚が回っているとか 回ってないとか からでいいんです とにかくはまず 自分お身体の分析をして 認識することが 脳に「動作の記憶が残る」 仕組みなんです

でも ここで厄介な事は 動作の記憶って 悪い動きであっても しっかりと記憶されてしまう・・・
ココで言う 良い動きと 悪いってのは 自身が理想とするペダリングと そうではないペダリングって事にします(理想のペダリング・・・ これもまた課題なんだけどねぇ~) また 理想とか 目標ってのを見つけることも 一苦労なんだけどねぇ~(今回は端折ります)

ペダリングの練習では この 悪い使い方をしている動作の記憶ってのが 本当に邪魔になってくる 何度も言いますが 一度 脳に記憶された動作は 無意識にできてしまう(動いてしまう)・・・ もし「こんなペダリング したくない」「こうじゃないんだけど・・・」って思っていても その動きが記憶されてしまっているので どうにも これもまた厄介なんです(ようは 癖みたいなもの) なので ペダリングの修正をする際の基本は いつも言っている事なんだけど 『丁寧に』ってヤツが重要なんです
ケイデンスにとらわれて 雑なペダリングなると 練習の目的がわからなくなってしまうので 要注意

ペダリングでは 9個の筋肉を使います(セミナーVol 7より)
踏む時には : 大腿二藤筋 半腱様筋 半膜様筋 薄筋 内側広筋 の5箇所
引く時には : 腸骨筋 大腰筋 縫工筋 薄筋 大腿直筋 の5箇所
※薄筋だけは 踏む時も 引く時にも使う

プロのアスリート サイクリストであれば 自身の最高のパフォーマンスの記憶が鮮明に 脳に残っているので 「フォームの修正」とか 「ペダリングの修正」ってのが 記憶から 元に戻したり また 新たに改造したりすることができるんだけど・・・
(プロであっても(どんなスポーツでも) フォームが崩れたり その都度 修正したりします)  

実際に 理想の動きって サイクリングを始めたばかりのサイクリストや 伸び悩んでいるサイクリストにとって 「雲をつかむようなこと」! 当然 到達した事がない動きなので 記憶にもないし・・・

なので・・・ 「①目で見て →②頭で考えて →③脳から運動神経経路を使って筋肉に命令 →④筋肉が収縮)  →動作」 ではなくって 記憶するための順番を 少し入れ替えて行う

④筋肉が収縮) →動作(丁寧に細かく意識してペダリングする)
→逆の経路で 運動神経経路を使って 脳に(脚 カラダが どう動いているか)フィードバックさせる
→②頭で考えて(記憶させて)
→③脳から運動神経経路を使って今度はフィードバックさせた動きを筋肉に命令する
→④筋肉が収縮(フィードバックした記憶の動きを再現) →動作(ペダリング)

この繰り返しってのが 冒頭に言った 「動作を繰り返す事が練習」ってことなんだけど・・・ 厳密に言うと 同じ動作を繰り返すのではなく 1回転 1回転ごとに しっかりと考えて 記憶された動作の フィードバックされた記憶が重なっペダリングになるため 常に新しいペダリングって事につながってくる

僕はよく 一緒にトレーニングや練習をしている方達に カラダを変えるって「電話帳を 1ページづつめくる」「紙を 1枚づつ重ねるような」・・・ なんて表現をしているんだけど 練習って そう言うことです(気が遠くなりそう) だからこそ 間違わないようにって いつも言ってるんだけどねぇ~

ガンガン練習すれば そりゃ~ そこそこは強くなれるし 上手にもなれる でも もし それ以上なパフォーマンスを手に入れようとするならば しっかりと 自身のペダリングを身に着けること 脳の中に 鮮明に記憶を創って どんなに苦しい時でも 無意識で最高のペダリングができるように 脳に刻み込む事だよね

今日は ここまでです
長文に お付き合い戴きまして ありがとうございます
質問なんかは ココ から 気軽に下さい

補足
・「①目で見て →」ってので イメージトレーニングにつなげる練習方法もある
・引退したプロ選手など 現役を離れていても 脳の記憶は残っているので(衰えた部分は除き) パフォーマンスを再現することもできる

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